抄録
2011年3月11日に発生した東北地方太平洋沖地震によって津波に浸水した範囲の地理的特性を理解するために、宮城県の土地条件図の整備されている範囲について、地形分類データと国土数値情報の土地利用データとを組み合わせて、海岸線からの距離帯に応じた津波浸水域の地理的特質を理解するための基礎データを整備した。海岸線から近い距離帯(2kmまで)は、斜面の森林部以外はほとんど浸水している。低地の微高地には建物用地、森林、田以外の農用地が立地しているが、微高地自体が海岸線から近い距離帯に位置するので、多くが浸水している。浸水面積は、海岸線から距離が大きくなるほど小さくなるが、特に距離4kmでの変化が顕著である。距離4kmより内陸側では、低地の一般面に立地する建物用地の非浸水の面積が増加しているのが特徴である。今後、被災後に航空レーザにより計測されたDEMを組み入れた解析や、低地の一般面を細分した解析、浸水深や建物被害の程度等を考慮した分析を行う予定である。