日本地理学会発表要旨集
2011年度日本地理学会秋季学術大会
セッションID: 411
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東日本大震災時における住民の行動
ー茨城県日立市の事例ー
*久保 倫子
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抄録

1.  研究課題 本研究では,被害状況が比較的軽微な地域における震災時の住民行動を分析することを目的とし,茨城県日立市においてフィールドワークを実施した.研究の手順は以下の通りである.1)日立市における被災状況に関するGISを用いた解析.2)事例地区における防災対策および震災時対応:コミュニティ活動および避難所運営の分析を中心に3)事例地区における震災後の住民の行動2.研究対象地域および調査方法 研究対象地域である茨城県日立市は,市街地を太平洋と多賀山地が挟み込むようにして形成される地域であり、日立製作所およびその関連企業が集積することから,これらへの従業者に向けた住宅団地の供給がなされてきた.日立市内の被災状況は,主として地震による住宅等の損壊やインフラの寸断と,津波による沿岸部の浸水被害とに大別される.前者の被害は市内全域において確認され,地区によって震災後の対応や住民の行動に異なる特徴が認められた.こうした住宅供給の過程および震災の被害状況を踏まえ,本研究は4つの事例地区を選定し,アンケート調査およびインタビュー調査を実施した(2011年6月).アンケートは各地区500部(計2000部)配布し,499の回答を得た.そのうち有効回答は492(24.6%)であった.各地区の特徴は以下の通りである.1)中心市街地:アンケート回収128,インタビュー8世帯,2)1980年代に分譲された山沿いの住宅団地:同129および11世帯,3)2000年代に分譲された山沿いの住宅団地:同139および6世帯,4)津波被害のあった沿岸地区:同96および12世帯 3.東日本大震災時の住民行動 津波被害のあった沿岸地区に居住する住民Aの地震発生後の行動を模式的に図示する.Aは津波による被害にあったため.子を迎えに行った後,避難所で5日間避難生活を送った.本研究ではこのような住民の行動とその背景となった地区の防災対策やコミュニティ活動とを併せて分析する.付記 本研究では,社団法人東京地学協会「東北地方太平洋沖地震関連緊急研究・調査助成金」(「被災地域における流通空間の変 容・再編に関する地理学的研究」,研究代表者:松井圭介)の一部を使用した。

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© 2011 公益社団法人 日本地理学会
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