日本地理学会発表要旨集
2012年度日本地理学会秋季学術大会
セッションID: 607
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発表要旨
2012年台風第4号の接近・通過による愛媛県東予地方の大雨
一 広志
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抄録
 新居浜および四国中央における降水量の時系列変化に着目すると、3時から4時頃にかけてと14時から15時頃にかけての2つのピークが認められる。これより、降水イベントの時間帯を0時から8時までと13時から18時までとの二者に分け、前者を第一のピーク時、後者を第二のピーク時と称してそれぞれの降水の成因についての考察を進める。(ⅰ)地上風と降水量との関係 4要素が観測されている新居浜と四国中央について、第一のピーク時と第二のピーク時の両者における地上風と降水量との関連を調べた。第一のピーク時においては2観測点ともに降水量は西風成分・南風成分の両者の間に正の相関関係が認められ、南西寄りの風が強くなるに従い降水量が増す傾向がある。第二のピーク時では2観測点ともに西風成分が減少するにつれて降水量が増す傾向があるが、相関係数は低く5%水準のt検定の結果も有意でない。新居浜では南風成分との間に正の相関関係があるが、先述の検定の結果は有意でない。台風の位置より推定される第二のピーク時における気圧場の風は北東寄りとなるが、北寄りの風が卓越している時よりも南~西寄りの風の発現時に降水量が多くなる傾向がある。(ⅱ)四国脊梁山地の南側と北側の温度傾度と降水 四国脊梁山地の北側に位置する西条、新居浜、四国中央と南側に位置する本川、本山の各観測点における気温の推移と降水イベントとの対応について考察した。気温は、0.6℃/100mの高度補正を行なった。第一のピーク時は脊梁山地の南北での温度傾度が拡大する過程であり、第二のピーク時においては縮小している。これより、第一のピーク時と第二のピーク時の降水の成因は異なっていると考えられる。降水量は第一のピーク時の方が多く、第二のピーク時の降水量は第一のピーク時のおよそ40~75%である。(ⅲ)四国とその周辺における地上相当温位 四国とその周辺領域の地上相当温位分布からの降水の成因についての説明を試みた。第一のピーク時にあたる4時には四国西部から大分県方面にかけて南北方向の相当温位傾度が大きくなっており、高知付近では暖湿気塊の北進が認められる。この傾度の大きい領域は梅雨前線本体であり、19日3時(JST)の地上天気図に停滞前線として解析されている。第二のピーク時の15時には室戸岬から潮岬にかけて348K以上の高い値を示しているが、四国地方における傾度は第一のピーク時に比べて緩やかである。レーダー合成図より、第二のピーク時の降水は台風本体の雨雲によるものであることがわかる。この時には梅雨前線は山陰から北陸にかけての地域に北上している。
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