日本地理学会発表要旨集
2012年度日本地理学会秋季学術大会
セッションID: S1204
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発表要旨
林業・木材産業地域の変容
市場変化と政策への対応をめぐって
中川 秀一
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抄録
1990年代までと2000年以降との間に、日本林業には大きな転換が起きている。それは住宅市場の変化であり、木材の流通・加工の大規模化、そして素材生産の効率化へと進行しており、諸施策がその動向を促進している。こうした政策と市場の変化は、山村の持続性とどのように関わっているだろうか。 国内の森林資源が成熟段階を迎える中で、林業関連の産業が山村の経済基盤となることが期待されている。新政策で、まず効率的な林業経営実現が目指され、その先に、林業・木材クラスター形成が描かれているのはその端的な表れといえよう。 しかし、従来の林業・木材産業の集積地の中には、この間の木材市場の変化に十分対応してこなかったために、活力を失ってきた地域もある。本報告では、新政策のモデル地域として岩手県住田町、従来型の地域として岐阜県加子母地域を取り上げ、この間の木材市場の変化への両地域の対応の差を検討する。両地域ともにこれまで人口面では、一定の非限界性を示してきた地域であるが、林業を基盤とするその存立基盤の現状は、対象的な方向性を示している。しかし、果たして、住田町は、多くの林業地域のモデルとなり得る事例といえるだろうか。むしろ従来型の地域の再興をどのように図るかを考える必要があるのではないか。
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© 2012 公益社団法人 日本地理学会
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