日本地理学会発表要旨集
2012年度日本地理学会秋季学術大会
セッションID: 208
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発表要旨
本州四国連絡橋完成に伴う四国地方の旅客流動の変化
*石川 真理子
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抄録
 本州四国連絡橋は、1988年の児島・坂出ルートの開通、1998年の神戸・鳴門ルートの開通、1999年の尾道・今治ルートの開通を経て、現在3本のルートが本州と四国を結んでいる。本四架橋の完成は、四国4県と他の地域間の旅客流動において、移動の確実性の向上と共に、交通手段の多様化をもたらした。こうした状況のもと、本四架橋の架橋効果に関する数多くの研究蓄積があるが、先行研究の多くが自動車交通の変化に主眼を置いており、本四架橋の完成に伴う人の移動の変化を、自動車以外の複数の交通手段別に考察した研究は少ない。また、人は所要時間・目的地・交通費・移動目的などに応じて交通手段を選択するが、各交通手段の特徴を、性別や年齢などの移動者の個人属性・移動目的などの観点から考察した研究は少ない。したがって本研究では、この2点に着目して分析を行った。
 まず、本四架橋完成に伴う四国地方の旅客流動の変化について、国土交通省発行の「全国幹線旅客純流動調査データ」に基づいて計量的に分析した。本四架橋の中でも1990年代後半に相次いで開通した神戸・鳴門ルートと尾道・今治ルートに焦点を当て、四国地方を発着地とする1日の人の移動状況を、航空・鉄道・船・高速バス・自動車という5つの交通手段別に架橋前と架橋後に分けて流動図で表した。その結果、本四架橋2ルートの完成が四国地方の既存の交通体系に与えた影響は大きく、海上交通の大幅な衰退を生じさせたことが計量的に明らかとなった。ただし、瀬戸内海の対岸交通である広島西部地域と松山地域・岡山県南地域と香川東部地域の船による移動は、依然として架橋前と同水準を維持していることは注目すべき点である。また、高速バスを中心とする自動車交通の活性化の程度に関しては、神戸・鳴門ルートと尾道・今治ルートで異なり、両者の地域インパクトの差が明確である。
 次に、各交通手段の利用者に着目し、四国地方の旅客流動における各交通手段の利用者の特徴を考察した。その結果、交通手段によって、利用者の性別・年齢・移動目的に異なる特徴がみられた。特に、性別差は明確な差異を示しており、自動車による移動者は男性比率が著しい。一方、高速バスによる移動者は女性比率が比較的高く、架橋後の2005年は半数を超えており、高速バスは女性の移動性を高める点で重要な交通手段となりうる。また、移動者の年齢や移動目的に関しても、各交通手段の特徴が明らかとなった。
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