世界ジオパークネットワークへの登録を目指している島根県の隠岐ジオパークには興味深い特徴がある。それは、地域住民からのボトムアップによって進められてきた取組みの蓄積である。隠岐のジオパーク活動に地質の専門員として途中から参加した発表者は、地域主体で行われてきたそれらの取り組みにおけるウィークポイントとして、科学的手法としての弱みや、大学研究者と地域住民の間の知識量ギャップに基づく問題などを目にし、それらの解決に取り組んできた。そして、その中で地域に根ざして活動する上での、科学者に求められる能力や役割についても大いに学ぶところがあった。 現状と展望を含め、ジオパーク活動を通しての科学と地域のリンクについて議論する。