抄録
シェムリアプ州のアンコール遺跡区域は、トンレサップ湖へと流れこむシェムリアプ川が存在している。同地域は、観光産業が著しい勢いで発達し、地域住民そしてアンコール遺跡群さらにはシェムリアプ川への影響が懸念されている。また、それにともなって同国の観光産業は計画性のないまま急激な成長を遂げている。したがって、アンコール遺跡区域内やその周辺でこのような環境の変化がとくに顕著であるといえる。さらには、無秩序な開発行為のため、林立するホテルやレストランや未完備な排水処理水などによる河川水への影響を評価する必要がある。そこで、本研究では、アジアモンスーンの影響のため雨季と乾季とで水量が異なり、トンレサップ湖の水理特性と密接に関連し、同湖の水質に影響を与えているシェムリアプ川に着目し、雨季と乾季における季節変動と流下に伴う水質の空間分布および季節変化について考察する。