抄録
1.はじめに タイは、洪水の多い国であるが、2011年の夏は異常であった。7月初めから10月まで大雨が降り続き、大規模な洪水が発生した。その洪水では、タイの工業地帯やバンコクにまで大きな被害を与えた。 このタイの大洪水の発生原因を知ることは、今後のタイにおける防災にとって必要不可欠である。そこで、本研究では2011年におけるタイの大洪水の発生要因を気象学的見地で探ることを目的としている。2.データ・方法SSECの赤外画像および水蒸気画像(http://www.ssec.wisc.edu/data/comp/ir/)NOAAの衛星データ(SST、SLP、東西風、南北風)(http://www.esrl.noaa.gov/psd/data/composites/day/) 衛星画像の赤外画像をタイの緯度経度に合わせて、東西および南北の短冊状に編集する。その短冊を日付順に並べる。この図を雲系ダイアグラムとし、タイの大雨を降らした雲の挙動およびタイにかかっていた時期を調べる。 NOAAの衛星データの平年偏差一週間平均を各緯度で経度15°間隔ずつ30°E~60°Wまでの数値データを読み取り、それらのデータを日付順に並べて、アイソプレスを作成する。3.解析結果 雲系ダイアグラムの図より、6月ごろからタイに雲がかかり始め、7月辺りから発達した雲が断続的に9月終わり辺りまでかかり続けていることが読み取れる。雲は、東からタイに進入していることが多い。 東西風偏差のアイソプレスの図より、平年と比べモンスーンの強化が見られる。また、西太平洋で平年偏差が正負交互に発生している。4. 最後に会場では、SST、SLP、東西風の解析結果と雲系ならびに大雨との関係を中心に発表予定である。