日本地理学会発表要旨集
2012年度日本地理学会春季学術大会
セッションID: 729
会議情報

発表要旨
東京周辺における夏季落雷頻度分布と地上気象場の関係
*鶴島 大樹
著者情報
会議録・要旨集 フリー

詳細
抄録
雷は積乱雲や対流性降水の発生頻度を示す指標になりうるとして、その有効性が認識されつつある。例えばTakayabu(2006)では、TRIMMのデータを用いた解析により、エコー頂が-20℃層を超える背の高い雲からの降水の割合が、雷を伴う降水頻度と高い相関を持つことを示した。また最近では、衛星や地上電波観測等で推定した雷放電の頻度を気象モデルに同化させることで、密な気象観測の難しい海上や多島域における降水予測の精度向上に繋げようとする試みもある(Pessi and Businger,2009)。このように雷のデータは、広域に渡る積乱雲発生頻度の様相把握、極端気象の予測精度向上などに対し大きく貢献できるものと期待される。 近年、都市化によって雷放電の頻度が増加する可能性が指摘されている(Stallins and Rose,2008)。我が国においては、「都市型水害」に対する社会的関心も手伝って、東京近辺で発生する強雨を扱った研究が多数存在する(藤部,2004)。これらの研究では、都市熱の影響によって広域海風の収束がおこり、都心部およびその周辺に強雨をもたらす可能性が議論されてきた。しかしこの一方で、東京周辺の雷活動の実態と都市の影響についての調査は未だ行われていない。 本研究では、東北電力(株)が運営する落雷位置評定システム(LLS: Lightning Location System)により観測された1994~2010年の落雷頻度データを用いて、東京周辺における夏季(7~8月)落雷頻度分布の特徴を調べた。さらにAMeDSデータを併用し、都心周辺での雷雲の発生に関係する地上気象場の特徴を、複数件の事例解析を通じて調査した。
著者関連情報
© 2012 公益社団法人 日本地理学会
前の記事 次の記事
feedback
Top