日本地理学会発表要旨集
2013年度日本地理学会秋季学術大会
セッションID: S0408
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発表要旨
土地条件をより重視した液状化ハザードマップ改訂の試み
*宇根 寛
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抄録
我孫子市においては、東北地方太平洋沖地震により液状化の大きな被害を受けたことを受け、市民の防災意識の啓発と正しい防災知識の共有を図るため、「あびこ防災マップ」を全面的に改訂し、2013年5月に市民に配布した。特に、この中の「地震ハザードマップ」(「揺れやすさマップ」「建物全壊率マップ」「液状化危険度マップ」により構成)については、東日本大震災での被害状況や最新の地震発生危険性の情勢に基づき、新たに解析を行い、全面的に改訂を行った。解析業務は「国土地理院防災情報支援チーム」の支援、協力のもと、市の委託を受けた民間コンサルタントが実施した。解析にあたっては、空中写真、旧版地図や土地条件図などを用いて微地形区分図が新たに作成され、これをもとに、揺れやすさ(想定地震による最大震度)や建物全壊率の予測、液状化危険度予測が行われた。特に、「液状化危険度マップ」については、メッシュ化により地形区分の情報が平均化されることを避けるため、微地形区分図のポリゴンデータから直接微地形区分と液状化の可能性の関係を示す判定基準表を用いて危険度が判定された。新たに作成された「地震ハザードマップ」には、これらの解析結果である3種のマップのほか、「地震ハザードマップができるまで」として、これらのマップがどのように作成されたのかをわかりやすく解説するコラムが表示されている。また、我孫子市のホームページには、解析のもととなった微地形区分図と地震ハザードマップ解析業務概要報告書がそのまま掲載されている。このことは、市民が土地の成り立ちを理解し、地域の災害特性を把握して、自らの判断であらかじめ適切な防災・減災行動をとることを促すことに資するものとして評価できる。
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© 2013 公益社団法人 日本地理学会
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