抄録
本研究では、神奈川県内の高校における野外調査の実態を明らかにするために、2012年5月に県内のすべての高校にアンケート用紙を送付し、124名の地理担当教員から回答を得ることができた。回答を整理した結果、多くの教員はフィールドワークの経験があるものの、実際に授業等で野外調査を実施している教員は約2割にとどまることが明らかとなった。野外調査を実施できない理由としては、おもに校務等による時間の不足、管理職の無理解、教科内の他の教員の協力の欠如などがあげられた。とくに神奈川県では、2012年度入学生から日本史が必修化され、地理の授業科目の維持すら困難な状況にあり、それが野外調査の衰退にも大きく影響を及ぼしているものと考えられる。