主催: 公益社団法人 日本地理学会
その地形の成り立ちから、扇状地平野において洪水は一般的な事象となっている。災害履歴の慎重な分析と自然地形の丁寧な分類は将来的な浸水域の予測の正確性を高めうるものである。庄内川流域で洪水に対して脆弱な土地を特定するために、我々は国土地理院発行の地形図と1974年撮影の航空写真を用いて地形分類図の作成を行った。また、地形分類の精度向上のため、複数回にわたる現地調査を実施し、地表面を測量した。さらに、調査地中下流域において最近40年で生じた土地利用及び土地被覆変化がもたらす洪水リスクを、土地被覆変化と洪水浸水域の比較により評価した。調査地下流域は主に自然堤防、後輩湿地、谷底平野、顕著な蛇行流路よりなる。昨今の調査地中下流域における人口増加は洪水および浸水のリスクを無視して進行している。作成した地形分類図は洪水浸水域を明確にし、より効果的な洪水の分析と減災を可能とするはずである。さらには、洪水被害の評価および将来的なリスク評価においても十分に活用できるだろう。