日本地理学会発表要旨集
2013年度日本地理学会春季学術大会
セッションID: P079
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発表要旨
中部日本における積雪の領域気候モデルと衛星画像データを用いた再現
*鈴木 智恵子飯塚 潤平木村 富士男若月 泰孝
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抄録
1.はじめに冬季に日本の中部山岳域にもたらされる降積雪は水資源としても重要な役割を持っている.しかし降積雪現象そのものの年々変動が大きいことに加えて地形が急峻であり,気候再現実験の検証に使うことができる地上観測データも比較的標高の低い地域に限られてきた.本研究では,多雪年と少雪年を対象に行った領域気候モデルによる気候再現実験と空間解像度の高い衛星画像データの比較を通して,積雪分布の再現性を検証することを目的とする.2.使用データと解析手法領域気候モデルとしてWRF ARW-Core V2.2による再現実験(Hara et al., 2008) の結果を利用した.初期値境界値にはNCEP/NCAR再解析データを使用した.衛星画像データとして,宇宙航空研究開発機構(JAXA)/東海大学(TSIC/TRIC)提供のJASMES/MODIS積雪マッププロダクトを使用した.本プロダクトは半月単位(各月の1-15日および16日-各月の最終日)で作成されており,水平解像度は500mである.積雪面積と標高の関係を調べるため,国土地理院の数値地図250mメッシュ(標高)を用いて標高の情報を積雪マップに挿入した.地上観測データとしてAMeDASの気温,降水量,積雪深を使用した.対象期間は比較的多雪であった2005年と少雪であった2006年の11月1日から翌年5月31日である.3.結果対象領域において2005年と2006年の11月から翌年5月まで半月毎に積雪分布を比較した結果を図に示す.2005年の方が積雪面積の拡大時期が早く,最大値の出現時期も半月程度早く,冬季全体を積算した積雪面積もより大きい様子が再現されている. MODISを基準としたWRFの積雪面積は5%以内の誤差で一致する時期がある一方,積雪開始時期の11月の他にも20%以上過大または過小となる時期がみられた.過大,過小の時期が2つの年で異なっていることから,積雪イベントの再現性も影響していると考えられる.
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© 2013 公益社団法人 日本地理学会
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