主催: 公益社団法人 日本地理学会
1856-1869年の三石場所におけるアイヌ集落では、家の集落間移動によって集落の構成は大きく変化していた。このような集団の空間的流動性は、ブッシュマン、ムブテイなどの狩猟採集社会においても見られる現象である。本研究では、家の集落間移動によって残される住居跡の数が、集落の戸数や集落の存続期間とどのような関係にあるのかを分析した。
(1)集落の平均戸数と住居跡数には、強い正の相関が認められた。r=0.968(5%水準で有意)。
(2)集落の存続期間と平均戸数には、かなりの相関が認められた。r=0.685(5%水準で有意)。
(3)集落の存続期間と住居跡数には、かなりの相関が認められた。r=0.677(5%水準で有意)。
(4)このような19世紀中期のアイヌ集落の分析結果は、例えば縄文時代の竪穴住居跡が発掘された場 合に、当時の集落を復元するうえで参考になる可能性がある。