抄録
本研究では,1901~2000年における東アジア地上気圧の長期変動について主成分分析を用いて明らかにした.第1主成分の因子負荷量は10º-25ºNの西部太平洋に負の中心が見られ,これは北太平洋高気圧の変動を示していると考えられる.主成分スコアは1950年以降に負となる年が多く見られ,NPSHが1950年以降に南西にシフトするとしている永田・三上(2012)と一致する.また,東部熱帯太平洋と熱帯インド洋の海面水温(sea surface temperature;SST)は第1主成分の主成分スコアと有意な負相関があり,同領域のSSTの上昇がNPSHの強化に関係していることがわかる.また,第2主成分はAll-India Monsoon Rainfall indexと,第3主成分はダイポールモードインデックスと関係があることがわかった.また,第4主成分はPJ(Pacific-Japan)パターンを示しており,Kawamura et al.(1998)がPJパターンの励起と関係が深いとしているフィリピンを境としたSSTの東西差や熱帯インド洋のSSTと相関が高かった.