抄録
リモートセンシングにより検知された森林火災と関連性がみられたのはFFMC(Fine Fuel Moisture Code)であり、FFMCの値が高くなってから3日後にもっとも関連性が高くなった。また、森林火災が検知された場所と、その前日のECMWFにより計算されている表層土壌水分量が少ない地域は、ほぼ一致していることがわかった。 一方で、多くの国で火災危険度の代表的指標として使用されているFWIと、リモートセンシングにより検知された森林火災との関連はそれほど高くなかった。
リモートセンシングを用いると、比較的小さな森林火災でも検知できる。腐食層や土壌の最表層の水分量が少ない状態が継続すると森林火災が起こりやすくなるため、FFMCと森林火災検知数の関連性は高かった。 一方で、FWI等の指標は、土壌の比較的深い層の水分量を経験的に示しており、森林火災の検知数とはあまり関係性が見られなかった。しかし、このような場所では、いったん森林火災が発生すると、すぐには鎮火しないため、被害は拡大すると考えられる。
森林火災検知方法としては、今回では簡便のためNASAによるMOD14モジュールを使用したが、今後はNakau et al.(2009)などによる高精度の森林火災検知方法との連携を進めていきたい。