日本地理学会発表要旨集
2015年度日本地理学会春季学術大会
セッションID: S1105
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発表要旨
沿岸域自然保護における”場”の多様性の意義
~沖縄島・辺野古-大浦地域を例に~
*中井 達郎
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抄録
 「生物多様性(Bio Diversity)」は近年、自然保護においてきわめて重要なキーワードのひとつとなっている。それは、遺伝子レベル・生物種レベル・生態系レベルの三つのレベルの多様性から成り立つと説明されている。しかし、往々にして種レベル以下の多様性で認識される傾向が強い。さらには、生態系レベルの多様性が論じられる際も、生物群集を中心に議論されることが多く、生物群集を取り囲む大気環境、地形地質環境、水環境などからなる無機的自然は十分に検討されることは少ない。本来、生態系は”無機自然系”と”生物群集系”の全体を対象とする。そしてその間の関係性を把握することによって特定地域の生態系の特性が明らかになる。自然保護問題の解決や持続可能な自然利用を考えるとき、生物学的側面の多様性だけではなく、無機的自然の多様性や人間にとっての多様性を含めて議論が必要となる。また自然保護の問題は、現実にある具体的地域の問題である。これらのことすべてを内包する”場”の多様性をいう見方が有効となろう。
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© 2015 公益社団法人 日本地理学会
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