日本地理学会発表要旨集
2016年度日本地理学会秋季学術大会
セッションID: 203
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発表要旨
「地理総合(仮称)」を見据えた教科横断型授業の実践
〜BYOD環境下におけるGISの活用例として〜
*河合 豊明
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抄録
 本発表では,高大接続の制度改革が検討されていることとを踏まえ,思考力・表現力の獲得に対して,高等学校における地理の学習が,どのように寄与することができるかを検討する。高等学校においては,高大接続の制度改革と同時に,アクティブ・ラーニングとICT活用の推進が唱えられており,大きな変革を迎えようとしている。高校地理においては,「地理総合(仮称)」の導入が検討されており,カリキュラムをはじめ学習内容・学習方法の検討が喫緊の課題となっている。  そこで発表者は,高等学校地理Bにおいて,ICT機器を活用し,複数のGISソフトを使い分けるという教科横断型の授業を実践した。本発表では,3つの実践例を提示し,汎用性があるかどうかに留意しつつ,ICTの活用,とりわけGISの活用が,高大接続の制度改革への対策として効果的かを検討する。
1つ目は,「シベリアで連鎖的に発生する山火事が,地球温暖化を進行させている」という教科書の記述をもとに,どのようなメカニズムで山火事が連鎖的に発生しているのかを理解し,説明できる能力,調査・論述課題の提出・添削結果の共有・質問対応においてICTを活用した。  
2つ目は,「ナイル川河口の三角州と,日本の海岸でともに砂浜が失われつつある」という問題を提示し,その原因を考察させた。その際,調査のヒントとなる画像,デジタル地図を配信し,生徒自身に論を組み立てさせた。その上で,日本での砂浜の後退は,治山の結果生じている副産物という結論に達すると,豊かな自然環境の維持と,生活安全性のどちらを選択するか議論した。  
3つ目は,「地方創生のためのビジネス」というテーマで,複雑な操作が不要な可視化ツールを用いて,統計データを分析し,どの程度の地方で,どのようなビジネス展開が可能かについて,ICTを活用して考察・提案させた。
本発表では,これらの授業実践を踏まえ,GISを活用し,ICT活用とアクティブ・ラーニングを取り入れた授業を実践する上で直面した問題点を共有し,より効果的かつ汎用性のある活用法を検討する。
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© 2016 公益社団法人 日本地理学会
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