抄録
北日本における4月と8月の月平均気温は、季節が異なっているにもかかわらず、1998年以降、強い負の相関関係を示している(Kanno,2013)。すなわち、4月高温—8月低温もしくは4月低温—8月高温の組み合わせが1998年以降顕著にみられるようになった。Kanno(2013)は北日本月平均気温と大規模場との関係から、北半球高度および風速の波列パターンによりもたらされる亜熱帯ジェット気流の変動が直接的な原因であること,また、特異値分解(SVD)から1998年頃を大規模な気候シフト時期として位置づけられることを明らかにした。一方、2014年夏からのエルニーニョは1998年と同様の大規模なものであり、次のレジームシフトに進展するのか否か注目される。そこで、そのような変化の可能性を意識しながら、大規模場の変動を中心に、4月と8月の気象の特異性について検討する。