抄録
本研究は、海風侵入時における内陸・沿岸部の気温と海面水温の関係を明らかにすることを目的とし、大阪湾および播磨灘沿岸に位置する、気象庁のアメダス観測地点13地点と、地方気象台2地点の15地点の2011年〜2015年のデータを調査した。 海面水温は、4地点で測定されたデータを用いた。海風日は、それぞれの地点について定めた基準風向で、連続して6時間吹いている日を対象日とし、海陸風の吹き方で2つのパターン(①海風が吹いているが、陸風は吹かない日②海風、陸風ともに吹いている日)に分けた。基準風向は、海風が発達しやすくなる午後12時~4時までの時間帯で最も卓越している風向を海風とし、陸風は午前0時~6時までの時間帯で最も卓越している風向を陸風とした。
15地点の中で最も海風・陸風の変化が顕著に現れていた神戸の8月の風向頻度を見ると、夜間の24時~6時まで卓越する西南西、西、東北東の風が陸風、日中の12時~16時まで卓越する、南西、南南西の風が海風とみられる。統計解析から、3時から朝9時までは陸風のみが卓越するが、それ以外の時間は、海風とみられる南西から西南西の風がずっと吹き続けることが分かった。
神戸以外の沿岸部の観測点における海風風向を見ると、播磨灘から大阪湾の北側の神戸までは南よりの、大阪湾の東側になると西よりの風が卓越し、海から陸に向かう風向として捉えられている。当日は、8地点の基準風向を基に設定した海風日について、沿岸と内陸の観測点の気温の特徴を比較した結果を発表する。