熊本地震の本震(Mw 7.0)で発生した斜面崩壊には、先行研究によって異方性が報告されたため、地殻変動の向きとの関わりを調べた。日奈久断層・布田川断層及びその北東への延長線(以下、断層等という)から北側では東向きの地殻変動を受けた斜面崩壊が卓越し、西向き成分よりも東向き成分の方位を持った斜面で崩壊が1.6倍起きやすく、断層等から南側では西向きの地殻変動を受けた斜面崩壊が卓越し、東向き成分よりも西向き成分の方位を持った斜面で崩壊が2.1倍起きやすいことが分かった。2005年パキスタン北部地震でも地殻変動の向きと崩壊の斜面方位の関係性が指摘され、改めて両者の関係が示唆された。