日本地理学会発表要旨集
2016年度日本地理学会春季学術大会
セッションID: P045
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要旨
平成27年9月関東・東北豪雨における鬼怒川周辺の浸水範囲と地形との関係
下妻市前河原地区周辺の事例
*中埜 貴元
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抄録

平成27年9月関東・東北豪雨に伴う鬼怒川流域での洪水災害では,茨城県常総市や下妻市などで浸水被害が発生した.常総市周辺で浸水範囲と治水地形分類図を概観すると,浸水範囲の境界は概ね氾濫平野等の低地と自然堤防等の微高地との地形境界付近に位置しており,浸水範囲と地形との密接な関係が窺える.一方,下妻市周辺では,越水箇所周辺以外でも段丘面(更新世段丘)が浸水している箇所が見られた.そこで同地区において,詳細な推定浸水範囲と治水地形分類図,土地条件図,航空レーザによる標高(DEM)データ等を比較することで,同地区の浸水範囲と地形との関係を探った. 同地区では,堤防を代替する段丘面中の低地部を流路として越水したと推定された.また,浸水した段丘面は,段丘縁辺緩斜面に該当し,低地からの比高が概ね3m以内で,浸水リスクに関する「治水地形分類図解説書」の説明とは調和するが,一般的に離水した地形とされる更新世段丘が浸水することは誤判断の要因となるため,治水地形分類図において,段丘縁辺緩斜面は段丘面に含めない方が誤解を招きにくいかもしれない.

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