日本地理学会発表要旨集
2016年度日本地理学会春季学術大会
セッションID: P037
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要旨
日本海秋田沖海底コアの過去30万年間のテフラ層序と堆積環境変遷
*鮫島 悠甫
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抄録
1.はじめに
長尺の深海底コアと陸上堆積物の分析を行い、従来知見の乏しかった日本海東北沖における最終間氷期以前のテフラ層序の確立と堆積環境変遷の解明を試みた。

2.調査地域および試料、方法
分析対象試料は日本海最上トラフ秋田沖海底 834mから採取されたRC1408コアのテフラ、堆積物および秋田陸上のテフラである。テフラ試料は実体顕微鏡観察による岩石記載ののち、走向型電子顕微鏡・エネルギー分散型 X 線分析装置(SEM-EDS)による火山ガラスの化学分析を行った。テフラを同定し、RC1408コアの年代モデルを決定した。またレーザー回折式による1408コア堆積物の粒度分析を行った。

3.結果と考察
RC1408 コアからは、As-K、Aso-4、On-Pm1、Toya、 Aso-3、Ata-Th、Aso-1 に対比されるテフラが確認された(図 1)。4 回の間氷期(1回は後氷期)を含む過去30万年まで年代を示す一連のテフラ層序を記録する堆積物が得られた。 As-K、Om-Pm1、Aso-3 については従来の研究では降下範囲外とされてきた位置にあるRC1408コアから確認されたことで、降下範囲の分布が拡大した。RC1408コアの粒度分析の結果、間氷期のピークと砂サイズ粒子(主に砕屑物、1~4 割ほどが微化石)のピークが一致し(図 2)、降水量が増加し、洪水時の掃流力も増加した結果、海域のより遠方まで粗粒堆積物が運搬されたためと考えられる。

謝辞
本研究は経済産業省メタンハイドレート開発促進事業の一環として実施されたものである。
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© 2016 公益社団法人 日本地理学会
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