抄録
身延断層の周辺において、複数の断層変位地形が確認できた。身延駅南方の荒屋敷では、数10万年前以降、最大で120~130 mの左横ずれ変位が累積していると考えられる。富士川河口断層帯の西方において、複数の活断層が確認され、その多くが左横ずれを主体とする活断層であることが判明してきた意義は大きい。駿河トラフの海底活断層は、身延断層方向へ連続する可能性がある。 荒屋敷で確認される左横ずれ活断層は、より北方および南方にも連続すると考えられる。しかし、現富士川の氾濫原の中を通過する可能性が高く詳細は不明であるので、高精度の地下探査を実施する必要がある。また、活断層の活動性を検討するために、富士川流域の河成段丘面の編年を進めることが重要である。