抄録
洛陽付近で行われた1寸千里法による日影長測定値を中国正史の天文志などからリストアップして考察した.1寸千里法の原理から見て、そのままでは距離測量法としては使えない.その距離千里は緯度によって変わるからである.しかし日影長・表長から太陽仰角を計算することが可能であり、それから容易に緯度がわかる.つまり史書に既知のA点からB点が南千里とあれば、日影長が1寸短い点という意味であるから、それを通じてB点の緯度を知ることができる. 受命改制によって、その都度1尺の長さは長くなるが、尺度の名称は変わらない.同じ対象を測った場合は数値だけが小さくなる.洛陽付近で夏至南中時に測った場合、太陽仰角、すなわち、日影長/表長は一定である.時代を通じて行われた日影長の測定値から尺度の歴史的変遷を文献によって知ることができる.古代中国では日影長を測ることで、それを緯度に代わる指標として南北位置を認識していた.