抄録
16年間(1999~2014年)の人口動態統計の個票データを使い,熱中症による日々の死亡率と当日の気温・相対湿度との関係を統計的に調べた。各都道府県について,日最高気温1℃幅ごとの熱中症死亡率を求め,死亡率がある基準値を超え始める気温閾値(T*)を定義した。その結果によると,T*の値は地域によって数℃の差があり,夏季気温の気候値と正相関を持つ。言い替えると,夏が涼しい地域は他の地域に比べ,比較的低い気温のもとでも熱中症死亡が発生する。また,相対湿度の高い日は低い日に比べてT*が低い(すなわち,熱中症死亡が起きやすい)傾向があることが確認された。