日本地理学会発表要旨集
2017年度日本地理学会秋季学術大会
セッションID: 103
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発表要旨
クラウドGISによるロストライン(廃線跡)ツーリズム
*原 雄一
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抄録

明治5年に横浜-新橋間で鉄道が開通、全国に拡大した鉄道網は昭和に入ってピークを迎え、昭和の後半から平成にかけて、減少の一途をたどっている。廃線となった路線は、有効活用されている事例もあるが、そのまま放置されている路線も多い。本稿では、廃線跡の路線をクラウドGISによりスマートフォン等で表示させ、廃線跡の痕跡を巡る旅としてロストラインツーリズムを取り上げる。 廃線跡は建設途中の未成線も含めると、膨大な数になる。鉄道発祥の地、イギリスでは廃線の活用を動態保存(実際に列車を運行)する先進的な事例が多いが、日本では廃線跡への認識がそこまで至っていないのが現状である。 廃線跡を巡る旅の醍醐味として、時間を超えての空間想像力が必要とされ、周辺の地形・地物から「おそらくここを通過していたのではないか」、という不確定な雰囲気から、はっきりとした痕跡を確認したときの爽快感などが挙げられる。さらに、その鉄道がなぜ建設され、どのように運営され、どのような経緯で廃線にいたったかの鉄道史を知ることができれば、地域のたどってきた歴史の理解に繋がることが期待できる。 地域の中で廃線跡をどう活かすかは重要な課題である。関心を持った時に、どこに廃線跡があるのか、自分のスマートフォンで表示できれば、廃線跡を歩くという行動に繋がりやすい。正確な廃線跡が表示されることで、廃線跡をたどるロストラインツーリズムの基本形が成立する。本稿でのクラウドGISはこのような行動を支援するものである。膨大な廃線跡をクラウドGISに格納し、スマートフォン、タブレットあるいはウォッチに表示させる試みをスタートした。

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