抄録
ドイツでは、すでに港湾都市としての地位を確立した都市が、市内にある港の機能を補完するために新たに開発した港のことを外港と呼んだ。ところが、2012年に従来の外港とは異なり、国家的プロジェクトによる、ドイツ唯一の大水深港湾ヤーデヴェーザーポートが誕生した。所有権を持たず、これを経営しているのがブレーメンである。これを外港と呼ぶかどうかは別として、まずは、ドイツの港湾都市による外港開発において、その背景にあったと想定される当該都市以外の意向について、いくつかの事例をもとに再検討 した。
その結果、国家の意向が港湾開発に反映される時、問題が複雑化していることが明らかになった。つまり、都市が自主的・自発的に、自らの財力で、あるいは連携して事に当たることの意義を示唆しているように思う。