日本地理学会発表要旨集
2017年度日本地理学会秋季学術大会
セッションID: P040
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発表要旨
200グラム未満の市販ドローンを用いた低空撮影と地図作成の可能性
田中 圭*中田 高渡辺 満久
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抄録

はじめに
近年のドローンと空撮画像から地図作りを可能とするソフトの登場は,独自の地図作りを行ってきた野外研究者にとっては,正に夢のような出来事であった.これまで,発表者らもドローンを用いて様々な地図を作成してきた.しかし,ドローンに触れたことがない人にとって,空撮のハードルは決して低くない.さらに,改正航空法(2015年12月10日施行)によって,人口密集地などでの飛行が制限されるなど,ドローン活用にとって心理的な負担が増した.一方,200グラム未満機は航空法の規制対象の適用外になり,安全を確保できれば比較的自由に空撮に活用することは可能である.また,機体が約20cm四方と小型なため,調査用具の一部として常に携帯することが可能である.  筆者らは,自律飛行が可能な200グラム未満機を自作し,熊本地震直後の地震断層の撮影に使用した(田中・中田,2016).しかし,研究者自身にドローンを自作するということは難しく,その普及ははかばかしくない.  最近,安定飛行を可能にする6軸ジャイロやGPSを搭載200グラム未満機が市販されるようになり,これを地図作成のための空撮に活用できれば,野外研究者にとって有益だと考え,その実用の可能性を探った.
テストに使用した機体
今回は,一般の人が比較的安価に入手できる2種類の機体を試用した.一つは,GPSを搭載したHubsan X4 Desire(以下,Desireと呼ぶ)で重量は150グラム未満である.ホバリングや緊急時に離陸地点に帰還する機能を持ち,価格も2万円前後である.もう一つは,Hitec社製のXK X251(以下,XK251と呼ぶ)で,強力なブラシレス・モーターを搭載しながら重量は200グラム未満を達成している.GPSは搭載していないが6軸ジャイロによって安定した飛行が可能で,機体の価格は2万円前後である.  Desireは,1280×720dpiのマイクロカメラを搭載しており,誰でもが簡単に飛行・空撮が可能である.しかし,カメラ性能はあまり高くなく,良質の画像を得るためには別のカメラを搭載する必要があるが,ペイロードは数十グラム程度であり,搭載可能なカメラは限られる.一方,XK251はカメラを搭載していないが,ペイロードは100グラムを超えており,GoProなどのアクションカメラなどの搭載が可能である.
空撮に試用したカメラ
小型の機体に搭載するカメラは小型・軽量であり,インターバル撮影可能ものが好ましい.この条件をクリアする3種類のカメラ(Mobius, Casio FR 10, Canon IXY 110F) をテストした.Mobiusは重量が38グラムであるが,1/2.7インチ2Mピクセルの映像素子を持つ.Casio FR10は,コンパクトデジカメと同じ1/2.3インチ,12Mピクセルの映像素子も持ち,5秒間隔で静止画像の撮影が可能で重量がカメラ部のみで64グラムである.これらのカメラは,前述の2機種に搭載してテストを行った.また,ペイロードの大きいXK X251には,1秒間隔でのインターバル撮影を可能にするファームウェアの改造を施したCanon IXY 110F(重量132グラム)を搭載し,撮影を試みた.  外部カメラをドローンの機体に装着するには工夫が必要である.今回は,発泡スチロールでカメラを保護するとともにランディングギアとなる部品(重量14グラム)を自作して,マジックテープと輪ゴムで機体に取り付けた.
これまでの成果と今後の展開
200グラム未満機による空撮では,小型・軽量の機体に重いカメラを搭載すると飛行時間が短くなり機体も不安定になるため,ドローンの性能とカメラ性能・重量の適切な組み合わせを探ることから始まる.Desireでは,もともと機体に水平に装着されているカメラを下向きに変更し,10m以下の超低空から動画を撮影し,それから切り出した静止画像をもとに密度の高いDSM(地表数値モデル)を生成した.この機体にはCasio FR 10まで搭載可能であるが,数分程度の飛行しかできない,また,着陸降下時に機体の挙動が不安定になる傾向が認められた.一方,XK X251では,Canon IXY 110Fを搭載し撮影が可能であったが,ここでも着陸降下時に機体の挙動が不安定になる傾向が認められた.  小型機体を使用した空撮では,性能の高いカメラと飛行の安定性はトレードオフの関係にあり,今後,さらに試験を重ねて市販の200グラム未満機を使用した低空撮のベストマッチを探る予定である.

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