抄録
地域の発展のために文化を応用することは、従来さまざまに行われてきた。2000年代以降の日本では、地域で行われるアートプロジェクトの数が増えている。
「地域住民がその地域の風土的個性を背景に、経済的自立性と文化的独立性を追求すること1」」は、1970年代に盛んに議論された地域主義の定義の一つである。地域の発展に含まれるものはそれだけではないが「経済的自立」と「文化的独立」は相補的に地域発展の要因となり、これらは「風土的個性」の上に追求できよう。この定義は現代に通用すると考えられ、地理学的課題を含んでもいる。
ここでは、地域におけるアートプロジェクトの地理学的な企画運営の実際とそこに内在する発展性について、青森EARTHアウトリーチ2)を例として報告し、課題提起を行う。