日本地理学会発表要旨集
2017年度日本地理学会秋季学術大会
セッションID: 410
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発表要旨
松浦武四郎の幕末北方地域踏査記録の評価
*伊藤 達雄
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キーワード: 松浦武四郎, 蝦夷地
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抄録

松浦武四郎は北海道の命名者として北海道では知られる三重県人である。三重県では本居宣長、松尾芭蕉らと並ぶ郷土の偉人の一人である。松浦には、旅の記録者、画家、書家、篆刻家、詩人、古物収集家など多彩な肩書きが与えられているが、それら何れの分野でも一流の域にあったという。
松浦武四郎が北方地域に関心を寄せたのは28歳の時で、単身蝦夷地入りを果たし、以後、6回もの渡航を行い、千島、カラフトにまで達し、多くの旅日誌やスケッチ、地図等を残したが、42歳のときそれらをまとめて編纂し、幕府に提出し出版もされた「戌午蝦夷山川地理取調日誌62巻」と「東西蝦夷山川地理取調図28冊」は彼の代表作といえる。
彼の残した多くの著作や地図・資料からは松浦武四郎がすぐれた地理学者・地誌学者であったと評価しうるが、現代日本の地理学界での知名度は高いとはいえない。日本の地理学者による松浦武四郎研究が深められることを期待したい。

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