日本地理学会発表要旨集
2017年度日本地理学会春季学術大会
セッションID: 619
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発表要旨
地域における交流の場の意義と効果に関する研究
北千里地域交流会を事例として
*久 隆浩
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抄録
本研究では、地域における交流の場の意義と効果について、吹田市北千里地域交流研究会を事例に調査・分析した。ネットワーク形成には呼びかけの場や機会が必要であるが、地域における呼びかけの場として筆者らが各地で設置しているのが「まちづくり井戸端会議」である。人々が集まるプラットフォームからさまざまなネットワーク活動が展開されていく、そうした経緯を参加者の意見からあきらかにできた。より具体的には、以下の点があきらかとなった。 ①交流の場は、気づきの場、連携の場、として機能していた。 ②交流の場を契機とした活動は気づきによる自発的なものとなっている。交流の場は、参加者の気づきを促し、主体性を高める場となっていることがわかる。すなわち、活動をfacilitate(促進)する場ということができる。 ③立場や価値観、意見の異なる多様な参加者が参加するほうが、気づきを高めることができる。また、厳格な合意形成や全員による意思決定を行なわない場であるからこそ、違いを認め合い、気づきにつなげる心のゆとりが持てる。 ④気づきを楽しむ参加者は、自らが発言することがなくても、人の話を聞いているだけで満足感、充実感を感じている。また、主体性の高い人々の参加が多いことによって、話の内容も質が高くなっており、それが聞き手の満足感にむすびついている。 ⑤連携の場としての交流の場は、従来個々に活動を展開してきたメンバーをつなげる役割を果たしたり、補完しあうことで活動を実現させること、地域のネットワークを持てなかった人々のつながりづくりを促進させること、に役立っていた。 ⑦交流の場を活性化させる条件としては、参加者の主体性の高さと強制されない自由な雰囲気、が大事であることがわかった。
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