日本地理学会発表要旨集
2018年度日本地理学会春季学術大会
セッションID: 435
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発表要旨
モンゴル・アルタイ山地における珪藻分析を用いた湖沼の環境変動史の復元
*鹿島 薫Ulgiichimeg Ganzorig箕田 友和
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抄録
本研究は,モンゴルにおける気候変動・黄砂変動を,湖沼堆積物に残された珪藻遺骸群集の変動から復元することを目的とする.モンゴルは,アジアモンスーン変動と偏西風変動の影響から,完新世において2回以上の大規模な乾燥期と湿潤期の変動が生じた.この乾湿変動は黄砂の起源となる細粒物質の供給,人間活動に大きな影響を与えているが,その詳細と詳しい編年は明らかとされずにいた.2017年8月4日から16日にかけて,モンゴル西部アルタイ山地において現地調査を行った.16湖沼において,40地点で現生珪藻の採取を行い,6か所で湖底堆積物の掘削調査を行った.さらに,2016年にドイツグッチンゲン大学とモンゴル教育大学が掘削したボーリングコア試料(2地点)も分析に用いた.
 湖沼の水質と産出する珪藻群集との関係を調査することが古環境復元の基礎となる.2017年における調査の結果,珪藻群集と湖沼の汚濁度・塩性度(電気伝導度)と強い相関が認められた.2017年に採取したコアは,2018年3月に植物検疫所の輸入許可により運搬されたばかりであるので2016年掘削試料の分析結果を以下に示す。過去4000年間に2回の湖面上昇期(I帯(4000-2300YBP)およびIV帯(1000 YBP以降))とその間の低水位期(II帯およびIII帯)が見られた。最上部では,最近の温暖化に伴う永久凍土の融解によって,湖水位は大きく上昇した(V帯)
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