抄録
新型コロナウイルス感染症による影響が長期化する中,文部科学省はガイドラインを提示し,学校運営の指針を示している。しかし,その中の対策の多くは,一時的・暫定的な対応に留まり,建築計画・設備計画までの言及は少ない。
本研究では,富山県の特別支援学校を対象としたアンケート調査を通じ,新型コロナウイルス感染期における特別支援学校の建築のハード面に関する施設整備の現状と課題を明らかにすることを試みた。
結果として,1)児童生徒数が多い学校では,児童生徒 1人あたりの各種面積が小さいことにより,密集の回避が困難であること,2)日常生活上の介助が必要な児童生徒に対しては,児童生徒と教員との密接に不可避な側面があること,3)校舎のバリアフリー化が整備されていない学校では,食事を各教室に運搬することができず,分散給食による給食時の感染リスクの低減が困難であること,が明らかとなった。