北太平洋高気圧の変動により,日本の夏季には猛暑や今年7月に発生した「令和2年7月豪雨」のような大雨が引き起こされる.本研究では,日本の夏季気温や降水量に影響を与える北太平洋高気圧西縁の東西及び南北変動を示す指数を1901〜2000年の期間で定義し,その長期変動と日本の気温・降水量との関係について明らかにした.この結果,北太平洋高気圧は20世紀に南西方向にシフトしており,20世紀後半にその傾向が顕著であることがわかった.また,この変化に伴い20世紀後半には日本の夏季気温に対する高気圧の影響が大きくなっていた.さらに,高気圧の東西変動と降水量の関係が強い地域が20世紀後半には南西方向にシフトしており,北太平洋高気圧は20世紀後半における九州と四国の降水変動に大きく寄与していることが明らかとなった.20世紀後半の傾向が21世紀も続いていれば,今後も九州付近での豪雨頻度の増加が懸念される.