日本地理学会発表要旨集
2020年度日本地理学会秋季学術大会
セッションID: P108
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発表要旨
30 m DEMを用いた山頂周辺の起伏と平均傾斜に基づく日本の山の険しさの評価
*山田 周二
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キーワード: DEM, SRTM1, 地形計測, 山地, 山頂
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抄録

日本の山の険しさを評価するために,約30 mメッシュのDEM(数値標高モデル)を用いて,山頂を抽出して,その山頂周辺の起伏と平均傾斜を計測した. それらの結果を基に,日本のどこに険しい山があるのか,を検討した.

約30 mメッシュのDEMである SRTM1を用いて,日本の主要4島(北海道,本州,四国,九州)にある山頂を抽出した.ある一定の半径の円内の中心点が,その円内で最も標高が高い場合に,その中心点を山頂と定義し,ここでは,その半径を1 kmとした.そして,山頂から半径1 kmの円内の最低点と山頂との標高差を起伏とした.また,30 mのセルごとに,隣接するセルから傾斜を算出して,山頂から半径1 kmの円内にある全てのセルの傾斜の平均値を,平均傾斜とした.なお,円内のデータ欠損や海が10%を超える場合は,分析対象外とした.

日本の主要4島には,分析対象とした山頂は35,552あり,起伏や平均傾斜が大きい山頂ほど数が少ない傾向があった.全山頂のうちで,起伏が750 m以上のものは52(0.1%)あり,500〜750 mのものは2161(6%)あった.平均傾斜が35°以上のものは45(0.1%)あり,30〜35°のものは904(3%)あった.

山頂周辺の起伏および平均傾斜の分布を見ると,いずれも,飛騨山脈および赤石山脈に,大きな値の山頂が集中する.起伏が750 m以上の山頂は,その73%が飛騨山脈および赤石山脈に分布しており,残りの27%は,石狩,日高,越後,木曽,両白,紀伊,四国山地に散在している.平均傾斜が35°以上の山頂は,その87%が飛騨,赤石山脈に分布しており,残りの13%は,日高,紀伊,四国山地にみられるのみである.それらに次いで険しい,起伏が500〜750 mの山頂や平均傾斜が30〜35°の山頂は,上記の山地とその周辺に分布は広がるものの,中国以西の内帯の山地,東北日本の太平洋側の山地,北海道の日高,石狩,北見山地を除く山地には,ほとんどみられない.

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