日本地理学会発表要旨集
2020年度日本地理学会春季学術大会
セッションID: 805
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発表要旨
銭湯の現状
*後藤 泰彦
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抄録

家庭風呂の普及にともなって、業としての入浴施設(銭湯、一般公衆浴場。以降「銭湯」とする。)の減少が著しい。現役事業者の多くは子に家業を継がせず、廃業を決意するケースが目立ち、銭湯のある景観は次第にノスタルジーの文脈で語られることが多くなった。現に、銭湯は減少傾向に歯止めがかからず、例えば1996年度末に9,461軒だったのが2018年度末には3,535軒となった。近年、東京や大阪等の都心部では若者を中心に、銭湯ブームが起き始めている。しかし事例として提示する千葉県内の銭湯は、危機的状況から脱していない。本発表では、身近な保健衛生施設としてかつては街の中心に据えられた銭湯の現状と、地理学的研究対象としての銭湯の存在を示すことを主目的としたい。そのため、まずは銭湯の定義を丁寧に示し、いかに重要な地域資源であったのかを鑑みながら、地理学的意義を共有したい。なお発表者は、千葉県公衆浴場業生活衛生同業組合より「千葉県銭湯大使」にも任命されており、銭湯と地理学の接続を模索している。

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