筆者は災害時に避難者が冷暖房のない環境下で暑さ寒さに晒されないような環境が必要だと考えている.そのことから任意の地点において,快適/快適ではない気温の時間数がどれくらいあるのかを追究している.さて,千葉(2020b)において「快適な気温」を複数・複雑なパラメーターを使用せずに「ざっくり」と設定すると,それは20〜25℃であると指摘した.今回は,日本の都市のなかで人口が多い三大都市圏と札(さつ)幌・仙(せん)台・広(ひろ)島・福(ふく)岡そして沖縄・那覇に広げ解析した.基礎資料は,気象庁ホームページ上にある気象統計情報のAMeDAS1時間値である.本報告も前報と同様に気温の階級を5℃刻みで設定.デグリーアワーの考え方を参考としながら,各階級が1年間に何時間あるのかを汎用表計算ソフト「EXCEL」を使用して調べる.解析対象期間は2020年暦年1年間である.快適時間数が最も少ないのは,札幌の1277時間(14.54%)であった.最も多かった地点は那覇で2738時間(31.17%)であった.南西諸島以外で最多の地点は,福岡の1883時間(21.44%)であった.筆者の予想に反して各地点の差異が思いのほか少なく,那覇を除き比率で言うと14〜21%程度であった.快適な時間数が多い都市は福岡で,島嶼部も含めると那覇であった.特に那覇はリゾート地としても著名なこととリンクする.