主催: 公益社団法人 日本地理学会
会議名: 2022年度日本地理学会秋季学術大会
開催日: 2022/09/23 - 2022/09/25
「平成の大合併」が各地域に及ぼした影響については様々な側面からの研究があるが、そのなかのひとつとして人口動態が挙げられる。たとえば、小池・山内(2015)は1980~2010年の総務省「国勢調査」等の結果を活用して5年ごとの旧市町村別人口変化を自然増減と社会増減に分解して観察した結果、合併後に役所(場)が置かれた「中心地域」と役所(場)が置かれなかった「周辺地域」との間の人口増減率の較差は概ね拡大傾向にあるものの、その要因は主として自然増減率の較差拡大にあることを示した。
しかし、合併終了から10年以上が経過していることなどから、「中心地域」と「周辺地域」の人口動態には新たな変化が生じている可能性もある。本報告では2020年「国勢調査」の結果も活用し、とくに「平成の大合併」後における旧市町村別の人口動態傾向の変化について明らかにすることを目的とする。
非大都市圏のなかで県庁所在都市以外の地域を対象とし、1980~2020年における「中心地域」と「周辺地域」の自然増減率と社会増減率の推移をみると、自然増減率の較差は05→10年までの傾向がその後も継続し、依然として拡大する傾向にある。一方、社会増減率の較差は、05→10年までは80→85年の水準以下に収まっていたが、10→15年と15→20年においては80→85年の水準を大幅に超えており、明らかに較差拡大の方向に変化したことが読み取れる。