主催: 公益社団法人 日本地理学会
会議名: 2022年度日本地理学会秋季学術大会
開催日: 2022/09/23 - 2022/09/25
2017 ・ 2018年告示の学習指導要領ではプログラミング教育を含む情報活用能力の育成などのICTに係る教育内容が盛り込まれ、2019年時点にはSociety5.0 時代に生きる子供たちにとって、PC 端末は鉛筆やノートと並ぶマストアイテムだとされた。大学での教員養成においても教員養成においても、ICTを活用するための知識・技能を習得する取り組みが進められている。 社会科教育の中でも地理教育においてはGIGAスクール構想以前から地理情報システム(GIS)を活用した実践が多く報告されてきたが、これからの社会科教育・地理教育においては、例えば答申「令和の日本型学校教育」が示すような1人1台端末によるスタディ・ログを活用した個別最適な学びの実現など、遠隔授業に留まらないICTを活用した実践が求められると考えられる。 そこで、本発表ではまず、地理情報システム(GIS)を活用した実践をはじめとするICTを活用した地理教育実践について先行研究を整理し、GIGAスクール構想に対応した地理教育、特に地誌学習の在り方を探る。
さて、GIGAスクール構想は、2020年以降の新型コロナウイルス感染症(COVID‑19)感染拡大を受けて前倒しで進められることとなり、初等教育・中等教育においては2021年3月末までに 全国の96.5 %の自治体で1人1台端末の納品が完了した。感染拡大を防ぐため、こうした1人1台端末を活用したオンラインによる遠隔授業も急速に普及し、従来型の授業を示すレトロニムとしての対面授業なる言葉も生まれた。 しかし、社会科教育関連の学会誌に掲載された研究論文の分析により、2020年度における社会科教育研究の動向を明らかにした大髙(2021)は、2020年度には家庭学習やオンラインによる遠隔授業のあり方をはじめとするCOVID‑19感染拡大に対応する社会科教育・地理教育に関する研究は、日本地理教育学会『新地理』の緊急特集「withコロナ、postコロナにおける地理教育のあり方オンライン交流会(2020年5月16日)報告」以外に見られなかったことを指摘し、COVID‑19感染拡大に対応する(した)ICTを活用した社会科教育・地理教育実践が求められているとした。同報告では遠隔授業の実施事例について取り上げられているが、「withコロナ」から「afterコロナ」へと移行しつつある現在、感染拡大が深刻であった2020年から2021年にかけての、遠隔授業による地理教育実践、特に地誌学習の実践の実態を明らかにする必要もあると考えられる。 そこで本発表では、学校現場での遠隔授業による地理教育実践の事例を複数挙げ、地理授業実践における遠隔授業と対面授業の差異について検討する。