抄録
[目的] フレンチメレンゲは、卵白に砂糖を加え、撹拌して気泡を含有させたもので、菓子や料理によく用いられている。このフレンチメレンゲは、生では菓子の膨化剤の他、コンポートのトッピング、焼成して焼きメレンゲにする等、主に菓子における用途が広い。本研究では、撹拌時間を変えたフレンチメレンゲを調製し、その性状を検討するとともに、嚥下困難者用食品としての適性を検討した。
[方法] 産卵2~3日後の卵白を裏ごし器に通して均一化させた後に30g採取し、同量(30g)のグラニュー糖を加え、家庭用ハンドミキサーを用いて撹拌速度700rpmで2、3、5、7、および9分間撹拌し、起泡程度の異なる各生メレンゲ試料を得た。これら試料の密度、テクスチャー、10分から60分および24時間後の分離液量を測定した。ついで各試料3gを薬包紙上で直径5cm大に搾り出し、恒温庫内で90℃、60分間焼成後、シリカゲルを入れたポリ袋に密封して24時間乾燥させて焼成メレンゲ試料とし、それらの密度、破断応力、水分蒸発量を測定した。
[結果] 生メレンゲ試料の分離液量は、撹拌時間に比例して少なくなる傾向にあった。また、密度も撹拌時間に伴い有意に低下した。嚥下困難者食品の測定基準に準じたテクスチャーは、いずれの試料も許可基準2に該当した。焼成メレンゲ試料の密度は、撹拌時間2分から7分まで低下していき、9分以降は平衡状態となった。破断応力は撹拌時間7分で最も低下した。また水分蒸発量も7分まで有意に増加した。以上より、7分が焼成メレンゲ製品調製上の最適撹拌時間とみなされた。これにとろみ剤等を適量加えることで、咀嚼嚥下困難者用食品としての利用適性も期待できると考えられた。