本研究では非過疎地域にありながら過疎地域相当の人口減少を示している旧市町村を「忘れられた過疎地」と位置づけ、その存在を旧市町村別の人口分析から探索的に特定すること目的とした。具体的にはGIS上での地理空間データの操作により現行過疎法に基づいた人口要件の指標を旧市町村別に算出し、各指標が過疎地域の基準値を満たしながら非過疎地域とされている旧市町村を「忘れられた過疎地」として特定した。結果として、対象地域の全旧市町村数のうち1割前後が「忘れられた過疎地」が特定され、少なくとも本研究の対象地域においては「忘れられた過疎地」が普遍的に存在することが明らかになった。また「忘れられた過疎地」は既存の過疎地域の縁辺部に連なって分布する傾向にあることから、その多くは既存の過疎地域と近しい地域条件下にあるものの、各要件が新市町村内で平準化された結果として、新市町村としては非過疎地域となり、現在に至っているものと推察される。