主催: 公益社団法人 日本地理学会
会議名: 2023年度日本地理学会春季学術大会
開催日: 2023/03/25 - 2023/03/27
マス・メディア(TVプログラム・映画・OVAなど)でアニメ作品化されたコンテンツを直径約600mmマンホール蓋に描き交接した物「アニメ系マンホール蓋」と定義する。従ってYouTubeで公開されている『人力戦艦!?汐風澤風』(福島県いわき市)やディズニーランド内に私設されているミッキーマウス・マンホール蓋は除外され,600mm以下の小径蓋も除外して考えると,2022年12月31日現在,報告者は559種類のアニメ系マンホール蓋を日本において捕捉した。これらを①作者出身地(居住地)・制作会社所在地・②作品舞台・③プロジェクト物・④その他に分類し,a)設置市町村・b)設置年・c)モチーフ・d)製法・e)由来・f)設置枚数に関する調査を行った。
アニメ・ツーリズムを想定した場合,②作品舞台を探訪する「聖地巡礼」の一行為としてアニメ系マンホールを見ることが想定され,これを観光資源化することが行われている。しかしながら,アニメ系マンホールの来歴をたどりと,①作者出身地(居住地)・製作会社所在地に設置されたアニメ系マンホールの方が,歴史も・その数も多いことがわかった。これは「聖地巡礼」が狭義のアニメ・ツーリズムであるとしたら,広義のアニメ・ツーリズムとでも呼びうる系統であろう。
これらとは別に,マンホール蓋を新たな商材・商機として活用せんとする③プロジェクト物のマンホール蓋が増殖中である。ポケモンのキャラクターが描かれたポケふた(277種類)・機動戦士ガンダムのキャラクターが描かれたもの(12種),ゾンビランドサガ(30種)においても佐賀県全20市町設置をすることが目的化されているプロジェクトと考えると,アニメ系マンホールの半数以上が③プロジェクト物に分類される。これらは,所在地情報がポケストップとして,『ポケモンGO』で活用されたり,マンホールのデザインそのものが新たな商材としてグッズ展開するなど,新たな商機を創出している。①・②・④と,③を同列に扱うべきか?はなお一層の検討を要するものの,報告当日はこれらの概況を報告する。