日本地理学会発表要旨集
2024年日本地理学会秋季学術大会
セッションID: 207
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厳冬の尾瀬ヶ原に出現する氷点下20℃以下の冷気湖
現地観測から見えた極端な放射冷却
*重田 祥範岩永 博之
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抄録

本研究では,尾瀬ヶ原の盆地形状に着目し,山ノ鼻地区(1405m)および鳩待峠(1588m)の標高の異なる2地点で気象観測を実施した.そのうえで,尾瀬ヶ原周辺の気象観測所(アメダス)のデータと比較し,夜間の気温低下量および日最低気温の記録から冷気湖の存在について明らかにした.

 単回帰分析の結果,記録された日最低気温は-1.0℃/100mであり,乾燥断熱減率と一致する.しかしながら,尾瀬ヶ原の気温は他の地点よりも著しく低い(-21.7℃).一方,日没以降は逆転層が出現し,尾瀬ヶ原の気温が急激に低下している.2地点間の高度差は180m(水平距離は2.98km)であるが,その気温差は15℃以上にも達していた.

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© 2024 公益社団法人 日本地理学会
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