主催: 公益社団法人 日本地理学会
会議名: 2025年日本地理学会春季学術大会
開催日: 2025/03/19 - 2025/03/21
大気中に浮遊するエアロゾルは,地球の放射収支に影響し,気候変動に対する重要な因子として知られている.東京湾岸部などの大都市かつ工業地帯が隣接する地域では,大気汚染の監視を目的としてエアロゾルを地表面近くで測定しているが,上空のエアロゾルに対する観測地点はそれに比べて極めて少ない.本研究では,東京湾岸部上空のエアロゾル光学的特性を把握するために,スカイラジオメータを横浜市内に設置し,その観測値と周辺地点との観測値比較および季節変化を検討した.
観測値を月別で評価したところ,エアロゾル光学的厚さは4月が高く,8月にその値がばらつく傾向にあった.地点間比較をすると,横浜の1次散乱アルベドは周辺地点よりも低く,オングストローム指数は周辺地点よりも高いことがわかった.気中あたりの粒径別体積濃度を比較したところ,千葉は相対的に粗大粒子が多く,横浜は微小粒子が多いことがわかった.これらの結果は,横浜上空では東京湾岸部の他地点に比べ,ブラックカーボンなどの微小粒子かつ光吸収性の高いエアロゾルを解析対象期間中多く含んでいたことを示唆している.