日本臨床薬理学会学術総会抄録集
Online ISSN : 2436-5580
第43回日本臨床薬理学会学術総会
セッションID: 43_3-C-P-117
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生活環境における新型コロナウイルス(SARS-CoV-2)汚染状況に関する検討
*船坂 龍善太田 麻耶杉本 修治
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抄録

【目的】新型コロナウイルス感染症(COVID-19)は、2019年12月に中国武漢で初めて感染陽性が報告され、その後全世界に感染拡大した。2022年となった現在でも、その終息については兆しが見えない状況である。COVID-19は感染性が高いとされ、市中感染が拡大しやすい感染症だと考えられており、普段から日常生活において感染予防に注意を払う必要がある。そこで本研究では、実際の生活環境において新型コロナウイルス(SARS-CoV-2)がどのような場所に存在・残存するのか、その汚染状況について検討した。【方法】COVID-19陽性患者に同意を得たうえで、隔離状態にある患者居室の様々な部位について、水で濡らした綿棒によるふき取り検査を実施した。陽性判明日の翌日、翌々日に検査を実施し、ふき取りのあとにはその部位をエタノールにより消毒した。ふき取り検体はリアルタイムPCR法により、SARS-CoV-2を検出した。【結果・考察】COVID-19陽性患者が触れたと考えられる部位(居室机上、ドア取手、携帯電話、筆記用具、使用済みコップ、使用済みスプーン、患者手のひら、トイレ便座、トイレ水道蛇口)についてSARS-CoV-2検出の有無を確認したところ、机上をふき取った検体からのみSARS-CoV-2を検出した。机上からは、陽性判明日の3日後にもSARS-CoV-2が検出された。患者は隔離中でもマスクを絶えずしており、机で食事する際のみマスクを外したとのことであった。机上からSARS-CoV-2を検出したのはマスクを外したことに起因するものと考えられる。独りでの食事のため会話することはないのだが、単に食事するだけでもウイルスが飛散していることが示唆される。またマスクをしている状態ではウイルスはあまり飛散していないと考えられ、マスク着用のさらなる重要性も示唆された。【結論】実際の生活環境におけるSARS-CoV-2汚染の状況を検討した本研究により、マスクを外した状況下での行動、特に食事時には注意を払う必要がある可能性が示唆された。マスクを着用している状況下では触れた部位へのウイルスの付着も検出できず、外した場合には一層の注意、こまめな消毒が必要であると考えられる。

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