抄録
症例の概要:患者は初診時年齢69歳の女性.下顎インプラントおよび天然歯支台のブリッジ脱離による咀嚼障害の治療を希望して来院した.保存困難な歯を抜去した後,暫間補綴物を作製し経過観察を行い,最終的に機能回復およびインプラントおよび周囲組織の保全を目的としたオーバーデンチャーによる治療を行った.
考察:治療終了後4年6カ月経過しているが,良好な機能回復が得られインプラント周囲炎の再発がないためオーバーデンチャーの選択が適切であったと考えられる.
結論:本症例のインプラント治療後の再補綴において,装着したオーバーデンチャーは咬合再構成,口腔内組織の維持安定および患者のQOL向上に寄与することができた.