日本補綴歯科学会誌
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◆企画:第125 回学術大会/イブニングセッション2 「骨質研究がもたらす歯科補綴の治療イノベーション」
歯科補綴学における骨質のパラダイムシフト
黒嶋 伸一郎加来 賢石本 卓也佐々木 宗輝中野 貴由澤瀬 隆
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2018 年 10 巻 1 号 p. 1-15

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抄録

目的:本研究の目的は,米国国立衛生研究所により提唱された「骨質」について最新の知見に基づいて解説し,骨質に影響を与える細胞や分子動態を解説することにある.

研究の選択:本論文は,コラーゲン線維,生体アパタイト(Biological Apatite:BAp)結晶,ならびに骨芽細胞や骨細胞を含む骨関連細胞に焦点を当てた文献レビューである.

結果:歯科学における「骨質」という専門用語は,レントゲン的および感覚的な評価に基づいて,長い間,骨密度とほぼ同義と考えられてきた.ところが2000年,米国国立衛生研究所は,骨質は骨密度とは完全に独立した全く新しい概念で,「骨構造」,「骨代謝回転」,「石灰化」ならびに「損傷の蓄積」などから構成されると定義した.そしてわれわれは近年,BAp,コラーゲン線維,ならびに骨芽細胞や骨細胞といった骨関連細胞が,ヒップインプラント(股関節インプラント)やデンタルインプラント周囲における新しい概念の「骨質」に重要な役割を果たすことを明らかにした.

結論:新規概念の「骨質」は骨の力学的機能を理解するために極めて重要である.BAp, コラーゲン線維,ならびに骨細胞は骨質に影響を与える主要な因子であり,さらに荷重は骨質を動的に適応変化させる.新規概念の「骨質」を理解することは歯科学において必要不可欠である.

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