2018 年 10 巻 2 号 p. 99-104
近年「歯は健康の源」が国民に理解されるようになり,医療従事者も自分の歯で咬めることが全身健康につながるとの認識が高まっている.このことは失われた歯や顎の機能回復を専門職とする補綴歯科医には,誰よりも重大な使命と責任を負う立場にある.補綴歯科医は半世紀に近い間「作る努力」をしてきたが,さらに国民の健康に寄与するためには,「作った補綴歯の延命に努力」しなければならない.そのためには,全部鋳造冠での修復歯がバンド冠や接着ブリッジより短命で日常臨床の多くが再治療である理由を再考する必要がある.補綴歯延命の鍵は,口腔を正常口腔常在菌叢に維持するための口腔ケアの効果を共有することにあると考える.