本企画では,“歯周病患者に対する固定性補綴歯科治療”をテーマに,前号掲載された弘岡秀明先生および松井徳雄先生の各論文に代表される治療コンセプトを,それぞれ『スカンジナビア型』および『米国型』と分類し,論考を試みた.「絶対的に必要なこと以上のことは何もするな,しかし,絶対的に必要なことは怠ってはいけない」とのコンセプトに基づくスカンジナビア型治療と,「外科処置により,可能な限りの生理的な骨形態,浅い歯肉溝,付着歯肉の獲得」を治療目標に置く米国型治療との間には,アプローチはまったく異なるものの,目指す共通点も見えてくる.本企画を通じて,“歯周病に対する補綴歯科治療の専門性”を考える一助となれば幸いである.